フォカロルの領主館周辺は、前線から退避させられた民衆と、誘導の為にいる

フォカロルの領主館周辺は、前線から退避させられた民衆と、誘導の為にいる領兵や職員、さらに第三騎士隊と彼らが率いる援軍の兵たちでごった返していた。
職員たちが民衆へ食事を振舞ったり、具合が悪くなった者を救護したりと、次第にお祭りのような雰囲気へと変わっていく。
商魂たくましい者たちは、いつの間にか屋台を出しており、職員たちも出店場所だけ整理して、後は自由にさせているようだ。
「戦争中のはずだが、なんだこの状況は」
馬を進めて民衆をかき分け、ミダスたちはようやく混雑するエリアを抜けつつあった。
「戦場になっている門から民衆を遠ざけたようです」
職員から状況を聞いた若い騎士からの報告を聞いて、ミダスはため息をついた。
「民衆のことを慮ってなのか、単に邪魔だからか……」
かなり高確率で後者だろうとは思うが、口には出さずに急いで戦場へと馬を進める。
全員に直ぐに剣を抜けるようにと指示を出しつつも、違和感に眉を寄せる。
「おかしいな……」
「何がです？」
「戦闘中のはずなのに、妙に静かだと思わないか？ むしろ領主館の方が騒々しい」
そういえば、と若い騎士は同意するが、とにかく現場へ向かおうと、人が少なくなった道で馬を進める。
やがて街の出入り口にある立派な鉄の門が見えてきたが、扉は大きく開かれていた。
「！……突破されたのか？ しかし、敵は……？」
急いで近寄ってみると、門の外では領兵たちが談笑しながら敵の死体を片付けていた。和やかに語り合いながら、魔法や薙刀で刻まれた死体を集めて穴へ放り込み、油をかけてひと山ごとに焼いていた。
タンパク質が焼ける強烈な悪臭が漂い、ミダスは鼻を押さえるほどだったが、領兵たちは顔に布を巻いただけで平然としていた。
死体の山を前に、リラックスした様子の領兵たちを見てから、後ろについてきている第三騎士隊の面々を見ると、一様に青ざめた顔をしており、中には堪えきれずに吐いている者もいた。
情けないとは思うが、もはや実践経験の差は王都の騎士や兵とフォカロルのトオノ領兵たちとでは覆し難い差があるようだ。
見回してみると、どこかで見た気がする一人の女性が兵達に指示を出しているのが見えた。
ミダスが馬を降りて、剣から手を離して近づくと、彼女も気づいたようだ。
「第三騎士隊のミダスだ。援軍として派遣されてきたのだが……」
「トオノ領で軍務関係の担当をしている文官奴隷のミュカレです。ようこそおいでくださいました」
にっこりと笑って応じたミュカレに、ミダスは彼女を含む一二三の奴隷達を思い出した。王城で一二三に何やら色々と叩き込まれているところを見かけた事がある。
「状況を教えて欲しいのだが」
「ヴィシーの将は死に、敗残兵は今ごろ、軍務長官たちに追われて逃げておりますわ」
フォカロルは戦場ではなくなり、既に今回の戦いは敗残兵狩りを残すばかりなのだという。
「敵の将は？」
「さあ？ 穴だらけだったと聞いていますし、今頃はどこかの穴の中で灰になっているでしょう」
ミダスは眉間を押さえて唸った。
一二三同様、彼らトオノ領兵や文官達にとって、敵が誰でどんな地位かなど関係が無いらしい。死んだから処理した、で全て終わりなのだ。
「ところで」
状況に頭を抱えるミダスに、ミュカレがにっこりと笑う。
「そろそろ終わった頃でしょうから、館へ向かわれた方がよろしいのでは？」
「終わったとは……何の事だ？」
「一二三様の悪趣味なお遊びが、ですわ」
一瞬思考が止まったミダスは、何も言わずに馬に飛び乗って領主館へ向かった。

手裏剣を構えたオリガは、痛む足を堪えて壁に背中を預けた。
「カーシャ、あなたを許さない……」
「落ち着きなよ！ もう騎士隊が踏み込んでくるし、そうなったら一二三さんはもう……」
言いかけたところで、オリガが放った四方手裏剣がカーシャの肩を裂いた。とっさに避けたため、傷は浅い。
「オリガ、なんで……」
「それ以上は許さない。騎士隊が来るならなおさら、私は一二三様の側に行かなくては」
次の手裏剣を構えるオリガに、カーシャは仕方ないと剣を掴み、鞘をつけたまま構えた。
「力づくでやるよ」
「やってみなさい。私は貴女のように弱い女じゃないこと、見せてあげる」
じりじりと距離を詰めてくるカーシャに、足が使えないオリガは壁に背をつけたままズルズルと横へ動くしかない。
カーシャはなるべく怪我をさせないようにと、打ち込む場所を迷っていた。
「杖も無い状態で、アタシに勝てるわけないよ」
「そうやって相手の能力を過小評価するのが、貴女の悪い癖だと何度も注意した事があるはずだけど？」
再び放たれた手裏剣は、カーシャの足を狙う。
カーシャは飛び退きつつ剣を振るって手裏剣の軌道を逸らし、逆に踏み込んで脇腹を打つ。
「くぅ……」
オリガは倒れるようにして受け流したつもりだったが身体が思うように動かず、完全には勢いを殺しきれなかった。
うつぶせに倒れ、荒い息をつくオリガに、カーシャは剣を下ろした。
「これでわかったよね。一緒に行こうよ……アタシはオリガと本気でやりあうなんて嫌だよ」
ゴロリとオリガは仰向けになって、右手をそっと、カーシャへ差し出してきた。
「よかった。それじゃ、これから一緒に……」
草を刈るような音がして、カーシャの脇腹を風の刃がえぐった。
コップを倒したような量の血が、床に落ちる。
「……は？」
目に映る自分の体の状況がよく飲み込めないまま、急激に血を失ったカーシャは膝をついた。
さらに、血がこぼれる。
「杖も無いのに、どうして……」
かすむ目でオリガを見ると、突き出された彼女のローブは腕まわりが裂けており、むき出しになった細い前腕には、皮のベルトで固定されたナイフがあった。
「一二三様の提案で、ホーラントの魔法使いを真似て作った隠しナイフよ。魔法使い相手に、詠唱の時間を与えたのは甘かったわね」
言い終わると、オリガもカーシャも床に倒れた。

一二三が部屋に踏み入った時点で、カーシャは虫の息だった。
とりあえず、と一二三に頭から魔法薬をどぼどぼとかけられたオリガが目覚めたとき、目の前に無傷の一二三がいることで、自分が死んだのかと勘違いした。
しかし、横を見るとカーシャが血だまりに倒れている。
「一二三様……？」
「おう、目が覚めたが」
「ご、ご無事ですか！？ ……そうでした、カーシャがこの館に騎士団を呼んだと……！」
飛び上がるように起きたオリガは、一二三にしがみついてまくしたてるが、簡単に引きはがされて床に転がった。
「落ち着け馬鹿たれ。襲ってきた騎士隊は全部始末した。今はドゥエルガルたちに片付けさせている」
良かった、と安心したオリガは、ぽろぽろと涙をこぼした。
オリガの嗚咽に、死の淵にいるカーシャはぼんやりとした意識のままつぶやいた。
「ひふみさん……あぁ、パジョーさんは……」
彼女は、自分にオリガとの仲直りの機会をくれたあの騎士は、失敗して死んだのだと悟ったカーシャは、もう何もかもがどうでも良くなっていた。
「カーシャ、今からでも一二三様に謝罪しなさい。まだ間に合うから……」
オリガは一二三とカーシャを交互に見て、以前のような優しい声で言ってくれた。そのことが、カーシャにはたまらなく悲しくなった。
「オリガ、ごめんね……。一二三さんも、ごめんね……。アタシは、馬鹿だったなぁ……」
「一二三様、彼女も反省しているので……」
いざカーシャの死にゆく姿を見てしまうと、オリガも動揺を隠せない。
だが、一二三は黙ってカーシャを見ている。
「もう……何も、かも、変わっていたんだよ、ね……アタシは気付けなかっただけで、パジョーさんも認められなかっただけで……」
カーシャは一二三を見て、苦しげに笑う。
「一二三さん、奴隷だったアタシたちを助けてくれて、ありがとう……。よかったら、このまま、死なせてほしい……馬鹿なアタシには、勿体ないくらい、恵まれた死に様だと、思うから……」
一二三は無表情で頷く。
「ありがとう……」
「カーシャ！」
そっと閉じられたカーシャの瞼は、もう開かなかった。
苦しげに一度だけ胸が上下してから、呼吸が止まる。
「ほんとうに、ばかなんだから……」
親友の横に座り込み、強がっても止められない涙を落とした。
一二三は、腰に手を当てて息を吐いた。
その脳裏には、多少の憐憫はあるが悔恨は無い。多くを占めるのは、憤怒だった。

人込みをかき分け、館に到着したミダスを出迎えたのは、無傷のまま、憤怒の表情を浮かべる一二三と、それ以上に怒りを燃やすオリガだった。
一人、執務室へ通されたミダスは、状況が最悪の結果を迎えている事を悟っていた。この後の自分の運命を思うと、足が重くなる。
「……で？」
一二三は、目の前で視線を合わせることもできずに立ち尽くすミダスに、短く声をかけた。
「え、援軍が間に合わず、お役にたてなくて申し訳ない……」
「あくまで私たちを助けるためにここまで来たと、そうおっしゃられるわけですね？」
「む、無論だ」
オリガの方にも目を向けることができない。
「援軍は、剣を抜いたまま執務室に踏み込んでくるのがこの国の常識なのか？」
「う……」
「知人を使って内情を探らせるのも、騎士隊の、いえ、王城の常識ですか？」
「うぐ……」
回答例があるならいくらでも払うのに、と思考がそれてきたミダスに、さらに一二三は畳みかけた。
「それに、おかしいんだよなぁ。イメラリアはヴィシーが結構な戦力を用意して国境へ攻めてくるのはわかっていたはず。というより、そう仕向けていたんだから、援軍を送るならもっと早くできたはずだけどな？」
「いや、そんなはずは……。事実、侯爵家次男のデボルド様を和平の使者としてヴィシーへ派遣されました」
「そうか。この世界の和平の使者というのは、こんな挑発文を送るものなのか」
投げわたされた書簡は、一二三がデボルドの懐から抜いたものだ。
「これは……！」
イメラリアの署名が入ったそれは、ヴィシーへ無理難題を突き付けた、どう好意的に解釈しても敵意しか見えない内容だった。
「さて、今回の件はミダスからしっかりとイメラリアに伝えてくれよ。俺がいくら優しいといっても限度がある、と」
どこが優しいのかと思ったのが顔に出たのか、オリガがぞっとするほど冷たい視線をミダスに向けてきた。
「本当なら、今すぐ貴方と王女の首を貰うところです。一二三様の寛大な処置に感謝するべきではありませんか」
「も、申し訳ない……」
頭を下げながら、今のオリガの言葉に「おや？」とミダスは疑問を持った。今の言い方だと、自分も王女も助かるように聞こえる。
「手ごたえがなさすぎるんだよなぁ……」
「は？」
「パジョーですら少し工夫をした程度だったし、ヴィシーの兵も馬鹿正直に正面から突っ込んできて、こっちの予測からちっとも外れない。オリガはよくやったようだが、カーシャは教えたことが全然できていなかった」
急に何を言い出したのか、ミダスはついていけない。
「俺の世界は、俺の国は、長い長い戦い歴史の中で、鎧を着た相手や馬に乗った相手、離れた相手や素早い相手を、いかに効率よく殺すか、多くの研鑽を重ねて技術を作り上げていった。その結果、様々な武術や武器が現れては消え、文字通り生き残りをかけて戦ってきたんだ」
まあ、最近はそんなことはすっかり忘れ去られてしまったけれど、愚痴を挟む。
「ところが、こっちへ来てから相対する相手が手ぬるい奴ばかりだ。この国だけかと思ったが、他の国もどうやら変わらないらしい。冒険者をやって為政者をやって、ずっと考えていたが、ようやく結論が出た」
「け、結論とは……」
ミダスは、何か途轍もない事を聞かされるのではないかと、すぐにここから逃げ出したい気持ちに突き動かされそうになったが、一二三が何を語るのか、ミダスが王女へ伝えなければならない。
「この世界には戦いが足りない。人と人が、命を削って戦う必死さが足りない。だから、俺が動

ผลลัพธ์ (อังกฤษ) 1:

Focalor Manor Hotel was bustling with people evacuated from the front line and guided for field soldiers and personnel, further reinforcements led by three Knights Squadron and their soldiers. And aid officials behave eating people, ill people, and evolve into increasingly a festival-like atmosphere. Businessman of their restaurants and stalls before one is aware, staff also organizes only the stores location, seems that a free market after."During the war, that's what this is. Horse people to wade through, Midas who is escaping last crowded area was."So alienated the people from becoming a battlefield" Hearing from the young knights heard the situation from the official reports and Midas sighed."Just so out of the way, or a 慮tte that the people of...." Hurry up silently in the mouth, but I think with fairly high probability, the latter will, advance the horse to the battlefield. While out instructions to leave sword soon everyone felt knit one's brows."However, as soon as...""What it is? 」"During the battle to be a strangely quiet think? Rather noisy Manor House. Fewer people headed to the scene anyway, reminds me, and agree with the young Knight and the road through the horse. Appeared fine iron soon is at the entrance of the city gate, but large door was open.「！ …… The break through? However, the enemy. 」 Hurry up close, and were clearing the dead bodies of the enemy and chat area soldiers just outside the gates. Collecting corpses carved with magic and halberd while talking to toss into the holes, over the oil burnt we each. Just wrapped a cloth in the face area soldiers burning protein is an intense stink drifts, Midas was holding the nose, was nonchalant. Who saw space soldiers relaxes before the piles of corpses and then come back three Knights Squadron's members and uniformly pale face, unable to bear during the vomiting. Would be miserable, but no longer experience the difference King Knight and seems like is easily reversed with their soldiers and focalor town area. I could look around and saw where a woman giving directions to our soldiers. Midas got off the horse, sword off hand, approaches, and she even noticed that."Midas Squadron three Knight's. Has been dispatched as reinforcements is... ""Is the Nambu region with a charge of military related civilian slave Mycale. Welcome, kindly. Mycale, according with a smile reminded me 123 including her slaves who, Midas. You have seen so far in Ojo 123 beaten with something.You tell me the situation is"Death of Vichy, defeated army was chased by now, military chiefs are fleeing." Focalor battlefield is no longer just already leave this fight as soldiers Hunt said."The enemy generals? 」"Come on? Told it was full of holes and would have been reduced to ashes in a hole somewhere now. Midas is holding the forehead and groaned. 123 as well as for their Nambu area soldiers and civilian personnel who enemy in any position, it doesn't matter. In the process died from, everything is finished.In the "where" Midas bury their head in the circumstances, Mycale smile and laugh."You'd better to fronted would over time is? 」"And ended up... What's the thing? 」"A sick fun of hifumi is." Midas momentarily stopped thinking that says nothing on the horse and went to the Manor. Olga, Shuriken are not sore feet and put back on the wall."Forgive your porridge......""Like restless! Now comes further Knight Corps and hifumi's anymore... " He, Olga slammed all sides Shuriken split porridge on the shoulder. Quick to avoid the wound is shallow."With Olga, I...""It is not permitted. Knights squad will come even more so, I go to hifumi kindly took our side. Grab a sword and Shuriken next to Grand Duchess Olga, porridge is unavoidable, wearing a sheath built."By force I'll do it."Please try. I'll show you that isn't as weak as your woman, " Not only left on the wall back to the Olga porridge come packed away and the feet can't slurping and moving to the next. Was wondering the location when the porridge as possible injuries won't allow."Without the stick, I could win I wouldn't."I should have warned many times doing so, underestimate the ability of opponents is a bad habit for you? 」 Shuriken was once again released aim to alienation. Porridge is called a sword while 飛bi退ki deflect Shuriken track delving into reverse and hit the side."Sent me a virus..." Motionless body I was going to fall over Olga, he parried, he couldn't kill the momentum completely. Olga fell face down, take a breath, sat down sword porridge."I understood from this. Let's go together. I and the Grand Duchess Olga serious, onliest I would hate it. Gorori and Olga is flat on his back, his right hand gently, giving to the porridge."Staff. It's from this together... " Sound like mowing the grass and scooped out the wind blade side of porridge. Blood volume, such as defeating the Cup falls to the floor.「…… The? 」 Swallowing frequently conditions of their eyes as rapidly losing blood porridge with knees. In addition, spilling blood."No staff though, why..." Rove was projected with hazy eyes Olga and her arms around was fixed at skinny forearm was exposed, and torn with a leather belt knife."Hidden knife at the suggestion of hifumi, imitating the wizard of Holland, made. Witch opponent gave the cast time is sweet! " Bowed and Olga and porridge are collapsed on the floor. The porridge was dying at 123 stepped into the room. For the time being, and was mistaken when awakened Olga dobodobo and magic medicine brought from 123 123 of the intact in front of them, and he died. しかし、横を見るとカーシャが血だまりに倒れている。「一二三様……？」「おう、目が覚めたが」「ご、ご無事ですか！？ ……そうでした、カーシャがこの館に騎士団を呼んだと……！」 飛び上がるように起きたオリガは、一二三にしがみついてまくしたてるが、簡単に引きはがされて床に転がった。「落ち着け馬鹿たれ。襲ってきた騎士隊は全部始末した。今はドゥエルガルたちに片付けさせている」 良かった、と安心したオリガは、ぽろぽろと涙をこぼした。 オリガの嗚咽に、死の淵にいるカーシャはぼんやりとした意識のままつぶやいた。「ひふみさん……あぁ、パジョーさんは……」 彼女は、自分にオリガとの仲直りの機会をくれたあの騎士は、失敗して死んだのだと悟ったカーシャは、もう何もかもがどうでも良くなっていた。「カーシャ、今からでも一二三様に謝罪しなさい。まだ間に合うから……」 オリガは一二三とカーシャを交互に見て、以前のような優しい声で言ってくれた。そのことが、カーシャにはたまらなく悲しくなった。「オリガ、ごめんね……。一二三さんも、ごめんね……。アタシは、馬鹿だったなぁ……」「一二三様、彼女も反省しているので……」 いざカーシャの死にゆく姿を見てしまうと、オリガも動揺を隠せない。 だが、一二三は黙ってカーシャを見ている。「もう……何も、かも、変わっていたんだよ、ね……アタシは気付けなかっただけで、パジョーさんも認められなかっただけで……」 カーシャは一二三を見て、苦しげに笑う。「一二三さん、奴隷だったアタシたちを助けてくれて、ありがとう……。よかったら、このまま、死なせてほしい……馬鹿なアタシには、勿体ないくらい、恵まれた死に様だと、思うから……」 一二三は無表情で頷く。「ありがとう……」「カーシャ！」 そっと閉じられたカーシャの瞼は、もう開かなかった。 苦しげに一度だけ胸が上下してから、呼吸が止まる。「ほんとうに、ばかなんだから……」 親友の横に座り込み、強がっても止められない涙を落とした。 一二三は、腰に手を当てて息を吐いた。その脳裏には、多少の憐憫はあるが悔恨は無い。多くを占めるのは、憤怒だった。 人込みをかき分け、館に到着したミダスを出迎えたのは、無傷のまま、憤怒の表情を浮かべる一二三と、それ以上に怒りを燃やすオリガだった。 一人、執務室へ通されたミダスは、状況が最悪の結果を迎えている事を悟っていた。この後の自分の運命を思うと、足が重くなる。「……で？」 一二三は、目の前で視線を合わせることもできずに立ち尽くすミダスに、短く声をかけた。「え、援軍が間に合わず、お役にたてなくて申し訳ない……」「あくまで私たちを助けるためにここまで来たと、そうおっしゃられるわけですね？」「む、無論だ」 オリガの方にも目を向けることができない。「援軍は、剣を抜いたまま執務室に踏み込んでくるのがこの国の常識なのか？」「う……」「知人を使って内情を探らせるのも、騎士隊の、いえ、王城の常識ですか？」「うぐ……」 回答例があるならいくらでも払うのに、と思考がそれてきたミダスに、さらに一二三は畳みかけた。「それに、おかしいんだよなぁ。イメラリアはヴィシーが結構な戦力を用意して国境へ攻めてくるのはわかっていたはず。というより、そう仕向けていたんだから、援軍を送るならもっと早くできたはずだけどな？」「いや、そんなはずは……。事実、侯爵家次男のデボルド様を和平の使者としてヴィシーへ派遣されました」「そうか。この世界の和平の使者というのは、こんな挑発文を送るものなのか」 投げわたされた書簡は、一二三がデボルドの懐から抜いたものだ。「これは……！」 イメラリアの署名が入ったそれは、ヴィシーへ無理難題を突き付けた、どう好意的に解釈しても敵意しか見えない内容だった。「さて、今回の件はミダスからしっかりとイメラリアに伝えてくれよ。俺がいくら優しいといっても限度がある、と」 どこが優しいのかと思ったのが顔に出たのか、オリガがぞっとするほど冷たい視線をミダスに向けてきた。「本当なら、今すぐ貴方と王女の首を貰うところです。一二三様の寛大な処置に感謝するべきではありませんか」「も、申し訳ない……」 頭を下げながら、今のオリガの言葉に「おや？」とミダスは疑問を持った。今の言い方だと、自分も王女も助かるように聞こえる。「手ごたえがなさすぎるんだよなぁ……」「は？」「パジョーですら少し工夫をした程度だったし、ヴィシーの兵も馬鹿正直に正面から突っ込んできて、こっちの予測からちっとも外れない。オリガはよくやったようだが、カーシャは教えたことが全然できていなかった」 急に何を言い出したのか、ミダスはついていけない。「俺の世界は、俺の国は、長い長い戦い歴史の中で、鎧を着た相手や馬に乗った相手、離れた相手や素早い相手を、いかに効率よく殺すか、多くの研鑽を重ねて技術を作り上げていった。その結果、様々な武術や武器が現れては消え、文字通り生き残りをかけて戦ってきたんだ」 まあ、最近はそんなことはすっかり忘れ去られてしまったけれど、愚痴を挟む。「ところが、こっちへ来てから相対する相手が手ぬるい奴ばかりだ。この国だけかと思ったが、他の国もどうやら変わらないらしい。冒険者をやって為政者をやって、ずっと考えていたが、ようやく結論が出た」「け、結論とは……」 ミダスは、何か途轍もない事を聞かされるのではないかと、すぐにここから逃げ出したい気持ちに突き動かされそうになったが、一二三が何を語るのか、ミダスが王女へ伝えなければならない。「この世界には戦いが足りない。人と人が、命を削って戦う必死さが足りない。だから、俺が動

ผลลัพธ์ (อังกฤษ) 2:

Manor museum around the Fokaroru is, and the people that have been retracted from the front, Ryo soldiers and staff have for the induction, was crowded with soldiers of reinforcements to further them and third knight corps led.
Or behaved officials meals to people, to be or to aid those who condition becomes worse, it will change to the atmosphere, such as the festival gradually.
Smart businessman shielding us, imperceptibly has issued a stand, officials also organize only opened place, after it seems to have allowed free to.
and "should during the war, but What this situation"
to wade through the people to complete the horse, Midas we had while missing an area for congestion finally.
"From the gate, which has become the battlefield seems to have alienated the people"
to hear reports from the young knight heard the situation from the staff, Midas sighed.
"Is it such is Omonbaka~tsu that of people, simply do because disturbed ......"
Although I think it would be the latter in fairly high probability, to advance the horse to the battlefield in a hurry without issued to mouth.
While instructs to be as immediately exit the sword to everyone also approach the eyebrows to the discomfort.
"Funny Na ......"
"What is is?"
and, "but it should be in combat, Do not you think that it is strangely quiet? rather towards the manor hall is loud,"
Come to think of it, the young knight but to agree, anyway In an attempt to heading to the site, to promote the horse on the road which a person is low.
Before long the fine iron gate at the entrance of the city have been seen, but the door had been wide open.
"! ... Breakthrough has been? The However, the enemy is ...?"
When I approached it in a hurry, in the outside of the gate had been put away the enemy of the corpse while chatting territory soldiers is. While talk in a friendly atmosphere, and toss to collect the corpse that was carved in the magic and halberd into the hole, it was baked for each pile over the oil.
Protein is burning strong stench drifts, Midas is was about holding the nose, Ryo soldiers had been nonchalant just wrapped the cloth to the face.
Before a pile of corpses, from watching Ryo soldiers of the relaxed state, looking at every one of the third knight corps that care about the back, it has a uniformly pale face, and fully bear Some also I had a person who wears without.
Pathetic and although I think the difference no longer practical experience seems there is a difference hardly overturned in the Tono territory soldiers of the Imperial City of the knights and soldiers and Fokaroru.
When I looked around, somewhere one of the women that I feel is viewed in the I saw has issued instructions to the soldiers who.
Midas is get off the horse, and closer to release the hand from the sword, it seems she was also noticed.
"It's Midas of the third knight corps. I had been dispatched as reinforcements, but ......"
"is Myukare of civilian slave that is in charge of the military relationship with Tono territory. Welcome gave me Come"
is in accordance with smiling To laugh to Myukare, Midas remembered slaves of one hundred twenty-three, including her. There are things that I saw a place that has something been various and hammered to one hundred twenty-three in Ojo.
"Although I want you to tell me the situation"
"Vichy Susumu death, straggler by now, and you'll escape being chased by the military secretary who"
Fokaroru is no longer on the battlefield, the already this battle straggler hunting that it only just leaves.
"The enemy of Prefect?"
and "Come on? and then you have heard that it was full of holes, you'll have to ashes in somewhere in the hole by now,"
Midas growled Hold the forehead.
One hundred twenty-three Similarly, for them Tono territory soldiers and civilian us, it seems there is no relationship like anyone what position the enemy. It was processed from dead, in and he such end all.
"By the way"
to Midas facing head on the situation, Myukare me laugh and smile.
"Because you'll When I was finished soon, than is sure who it was directed to the palace?"
"was and is finished thing of what ...?"
"one hundred twenty-three like bad taste tail play, is I"
moment thinking Midas, which has stopped is, went to lord museum is jumped on the horse without saying anything. Olga, which was holding a shuriken was deposited back to the wall to answer a sore foot. "Kasha, allowed not ...... you" and "I Na calm! to come at another Knight Corps is depressed, if that happened one hundred twenty-three's the other ......" in the place where it was about to say, shoulder square shuriken that Olga's shot is kasha me was split. In order to avoid Tossa, scratch shallow. "Olga, why ......" "any more it is not allowed. especially if the knight corps comes, I will not go on the side of the one hundred twenty-three-like" to set up the next shuriken Olga, a sword and kasha is unavoidable Grasp, was poised to leave the sheath. and "I'll do brute force" and "doing Try on. that I'm not a weak woman like a lady, I'll show" put to come stuffed edged distance Kasha, back to Olga wall you can not use the foot there is no choice but to move to the slurping and horizontal hold. Kasha was wondering and so as not to hurt as much as possible, the location where the implanting. "The cane there is no state, no I can not win in Atashi" "is to underestimate the total can I opponent's ability, but I should have that care was taken many times and bad habit of lady?" was again let loose Shuriken is, aim the foot of kasha. Kasha is deflect shuriken of orbit and wields a sword while Tobinoki, hit the flank and delving into reverse. "KUU ......" Olga but was going to way was parried fall and does not move as I think the body, completely and could not kill the momentum. and prone to fall in, in rough sigh Olga, Kasha was down the sword. "It 's been found in this. Atashi ...... Let's go together and I would not want Nante quarrel with Olga and seriously" is Gorori and Olga to become on his back, gently right hand, it has been held out to kasha. it "was good. Okay, now ... together" to sound like mow the grass, the flank of kasha is the blade of the wind was gouge. The amount of blood, such as defeated cup, fall to the floor. "...... Is?" remains not swallow well the status of the eyes of his body, kasha you have lost blood rapidly went the knee. In addition, blood is spilling. "Even though there is no cane, why ......" If you look at the Olga in the hazy eyes, her robe that was projected are tearing around the arm, knife in thin forearm became bare, which is secured with a belt of skin was there. "At the suggestion of one hundred twenty-three like, I hid the knife that was made ​​by imitating the magician of Holland. To wizard opponent, was the I I was sweet given the time of the chant" When Iowaru, Olga also kasha also fell to the floor. at the time the one hundred twenty-three was Fumii~tsu the room, Kasha was a faint breath. For now, and when the Olga the magic drugs were subjected to the Dobodobo from head woke up to one hundred twenty-three, it is possible that there are intact one hundred twenty-three in front of the eye, it was mistaken if he died. However, to see the horizontal and kasha is lying in pools blood. "One hundred twenty-three like ...?" and "Oh, but woke up," "your, was your safe is either!? ... likely, Kasha is the called the Knights in the can ...!" and jump up as Olga what happened, the spout is clinging to one hundred twenty-three, but rolled easily pull stripped is in the floor. "Calm down fool sauce. Knight corps that has been hit was rid of all of them. Now I have are forced to clean up in Do~uerugaru us" it was good, and Olga you have peace of mind, it spilled flake To tears. The sobbing of Olga, kasha who is in the brink of death muttered remains hazy consciousness. "Hifumi Mr. ...... Oh, Mr. Pajot is ......" her, that knight that gave me the opportunity of reconciliation with Olga to myself, kasha, which was realized fails and with it the dead may anyhow anymore everything now it had. "Kasha, please apologize to one hundred twenty-three like even from now. Still ...... from a catch" Olga looked alternately one hundred twenty-three and kasha, told me in an earlier friendly voice like. The thing is, became sad irresistibly to kasha. "Olga, I'm sorry .... One hundred twenty-three san, I'm sorry .... Atashi, the fool was the wonder ......" "one hundred twenty-three like, ... because she is also reflect" the dying figure of emergency kasha If you would look, Olga also not hide the upset. But, one hundred twenty-three have seen kasha in silence. "Even the other ...... what, duck, I've been changed, I ...... Atashi only did the care, only ...... Pajot's also was observed" kasha saw one hundred twenty-three, laugh painfully . "One hundred twenty-three's, is helped at me who was a slave, and Tara Thank you .... Good, leave this, to will die not to want ...... stupid Atashi, much wasteful, and he is blessed death way, because I think ...... " one hundred twenty-three nod expressionless. "Thank you ......" "Kasha!" eyelid gently closed Kasha, I did not open anymore. From up and down the breast only once painfully, stops breathing. "Really, because I'm stupid ......" to sit next to a close friend, it has been dropped, even unstoppable tears Tsuyoga~tsu. One hundred twenty-three was vomited a breath against your hand on your hip. In its mind, it is but contrition is not some pity. It occupies a lot, it was rage. And wade through the crowd, was it that greeted the Midas they arrived at the palace, remain intact, and one hundred twenty-three that put a rage of expression, was Olga burning anger any more. One person, Midas that was passed to the office had realized that the situation has reached the worst of results. If you think his fate after this, the foot becomes heavier. "In ...?" one hundred twenty-three is, in Midas to stand still without can also adjust the line of sight in front of the eye, multiplied by the short voice. "For example, it reinforcements too late, and sorry ...... is not built in your role," "and came to help only us up here, it is but are so Osshara?" "No, it's of course" towards Olga it is not possible to look in. "Reinforcements, common sense of whether? Of this country is coming depressing to hold office pulled the sword," "u ......" even cause spy out the know by using the "acquaintance, Knight Corps, say, of Ojo Is common sense? " "Uku ......" and to pay any amount if there is an answer example, to the Midas of thinking has been that, further one hundred twenty-three was Tatamikake. "And, I wonder'm funny. Imeraria it should was it supposed knew coming attack to the border to prepare the Vichy is quite a force. Or rather, because I've been directed so, can more quickly and if sent reinforcements Do not? "but I "No, way ... is .... In fact, the Marquis who was dispatched to Vichy the Deborudo like the second son as a messenger of peace," "Do so. because the messenger of peace of this world, this provocative statement a letter to something whether " throwing passed letter, something that one hundred twenty-three was pulled from the bosom of Deborudo. "This is ...!" it that contains the signature of Imeraria, it shoves the unreasonable demand to Vichy, how was favorably the interpreted only visible hostility even content. "Well, Ken of this time I'll me tell firmly Imeraria from Midas. There is a limit even to say that I no matter how friendly, and" where is what came to friendly whether and I thought of the face, as Olga is appalling We've been for the cold gaze to Midas. The "If true, it is where you get the neck right now princess and you. one hundred twenty-three like clemency or should not be grateful to" "also sorry ......" while lowering the head, the words of today's Olga Midas had a question the "parent?" to. When I now say, it sounds like his nor survive princess. "Unresponsive Naa'm it is too name is ......" "What?" "It was a degree that even was a little ingenuity a Pajot, Vichy soldiers also came digs from fool honestly front, does not deviate at all from here predicted. Olga seems to have done well, but Kasha has a "did not at all can be taught what you whether started to say suddenly, Midas can not keep up. "My world, my country, in the long long battle history, opponent riding a partner and horses wore armor, a distant opponent and quick opponent, and kill or how efficiently, piled a lot of study was carried out created a technology Te. As a result, disappear appear various martial arts and weapons, literally I've been fighting for survival, " Well, such a thing but had been completely forgotten recently, sandwiching the bitches . "However, I since I came over here just the opposite party is lax guy. I thought whether this country only, other countries also apparently does not change apparently. Doing statesmen doing adventurer, and had been thinking, finally conclusion came out, " "only, ..." the conclusion disturbing, something whether Totetsu not even never than the be told, but soon became likely to be motivated by the feeling you want to run away from here, one twenty-three is what to tell, Midas must be transmitted to the princess. "This is in the world do not have enough fight. People and the people, is not enough desperation to fight by cutting the life. So, I kinematic