→はい
→僕はひたすら肯いておいた。僕みたいな若造の意見なんて、何の役にも立つたないことがわかったからだ。お父さんはたぶん、誰かに話したいだけなのだろう。そうの相手に選んでもらったことうれしいというか、ありがたかった。お父さんの話を聞いてながら、僕はひたすらビールを飲んだ。お父さんも飲んだ。僕にちの顔はどんどん赤くなっていき、焼き馬の串がどんどん溜まって行った。
→お父さんが話してくれたのは、よくあることなのかもうしれない。どこにでも転がっていける、ありふれたことだろう。けれど、だからと言って軽く受け止められるかといえば、そんなわけはないのだった。人は当たり前のように悩むし、若しむし、落ち込む。年をとったからといって、悟られるわけではない。そのことを僕は改めて思い知った。
こんな年上の人と腹を割って話したのは初めてだった。自分の父親とだって、ここまで深く話したことはなかった。五十一のお父さんは、背中を丸めていた。しょぼくれていて、かわいそうだった。
→参ったな
→お父さんは繰り返した。