>第12話『騎士団』※「全く、次から次へと問題ばかり起こしてくれる」 アルコル宰相は背もたれに寄り掛かり、溜息混じりに言った。主語が抜けてい การแปล - >第12話『騎士団』※「全く、次から次へと問題ばかり起こしてくれる」 アルコル宰相は背もたれに寄り掛かり、溜息混じりに言った。主語が抜けてい อังกฤษ วิธีการพูด

>第12話『騎士団』※「全く、次から次へと問題ばかり起こしてくれる」

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第12話『騎士団』


「全く、次から次へと問題ばかり起こしてくれる」
アルコル宰相は背もたれに寄り掛かり、溜息混じりに言った。主語が抜けているが、彼の台詞がクロフォード男爵の息子であるクロノに対するものであることは尋ねなくても判る。
蛮族に攫われたかと思えば、その蛮族が説得に応じて和議を申し入れてきたと言うのだから、アルコル宰相でなくてもぼやきたくなるだろう。
「蛮族の申し出なんて突っぱねれば良いじゃない」
「こちらから歩み寄って置きながら、手の平を返すなど体面が悪かろう」
元々、アルコル宰相は木っ端役人である。ラマル五世に重用され、あり得ない立身出世を遂げたが、皇帝という後ろ盾がない今は彼の地位も盤石とは言えない。
「蛮族の申し出を受け入れても同じじゃないかしら?」
「その辺りはエルナト伯爵が『派手に』根回しをしとる」
その『派手な』根回しを止めようとしないのだから、アルコル宰相はエルナト伯爵が作り出した流れに乗るつもりなのだろう。もっとも、エルナト伯爵の真意が何処にあるのか分からないが。
「蛮族の脅威がなくなったら困るんじゃないかしら?」
「ドラド王国を仮想敵とし、アレオス山地に砦を建設することで対応する」
蛮族の脅威がなくなって困るのは南辺境の新貴族ではなく、アルコル宰相を含めた帝国の旧貴族だ。
南辺境の新貴族がドラド王国と交易をするようになれば物流の制限というカードが使えなくなってしまう。
「次期皇帝陛下の様子は?」
「あの親征以来、自分に権力があると思い込んでいるみたいなのよね」
政治に口を挟もうとするのも時間の問題じゃないかしら、とファーナは心の中で付け加えた。
「権力の怖さも理解してくれると良いのだがな」
「それとなく忠告するけれど」
陛下は、あれはあれで名君だったのかしらね、とファーナはラマル五世の顔を思い浮かべようとして失敗した。どうにも思い出せるのは酒臭い息と死んだ弟に怯えている姿ばかりである。
有能な部下に万事丸投げという姿勢はどうかと思うが、結果だけ見ればラマル五世は穏やかに帝国を治めたと言えるのではないだろうか。
ラマル五世は知っていたのだ。権力の恐ろしさも、ついでに言えば自分が無能であることも。
ファーナの息子であるアルフォートは違う。アルフォートは権力の恐ろしさも、自分の限界も知らない。息子は誰かの甘言に乗せられてアルコル宰相を排斥しかねない危うさを抱えているのだ。
ティリア皇女に皇位を継がせた方が良かったんじゃないかしら? とも思うのだが、アルコル宰相が内乱の原因を作った女の娘を信用できるかと言えばそれも難しいだろうと思う。
今までのやり方が通じなくなってきてる感じね、とファーナは難しそうに眉間に皺を寄せるアルコル宰相を眺めた。



部屋には煙が漂っていた。鎮静効果のある薬草を焚いて生じるそれは今日に限って言えば本来の用途とは異なる使い方をされていた。
突然、煙が渦を巻く。部屋の窓は閉め切られている。人が動けば煙が動くことはあるだろうが、今のように動いたりはしないだろう。
煙の中心に立つのは刻印を起動させたスーだ。煙はスーを中心に渦を巻き、紡錘状の無煙空間を作り出している。
『……場、言ウ。オレノ意思、場、伝ワル』
「なるほど」
どうやら、刻印術は身体能力を高める以外にも使い道があったようだ。ララは炎を纏っていたし、リリも飛んでいたので、今更という気もするが。
クロノは首飾りを握り締め、刻印を起動させる。ギチギチと体が軋み、その痛みに耐えながら煙が渦を巻くようにイメージする。
最初は緩やかに、糸が解れるように煙が流れる。しばらくして完成したそれはスーと異なり、あちこちが歪んだ紡錘だった。
「相変わらず、体が痛いんだけど?」
『オマエ、力
ちから
、ナイ』
ん? とクロノは首を傾げたが、すぐに納得した。この世界に落ちてからクロノは体を鍛えた。
今まで努力をしてきた自負はあるが、過酷な自然環境に晒されて育つルー族とは鍛え方が根本的に違うのだ。
クロノ本来の筋力と刻印によって発揮できるようになる筋力に落差がありすぎて、体に負担が掛かっているのだろう。
「……楽して強くはなれないか」
『呪イ、頼ル、ダメ』
剣によって生きる者は剣によって滅ぶじゃないけど、便利な力に依存するのは良くないかもね、とクロノは剣を抜いた。
『場、保ツ』
「了解。そうしないと、実戦で使えないもんね」
そうとなれば地道に鍛えるしかない。クロノは『場』を維持しながら素振りをし、すぐに難しさを悟った。
素振りをすると、『場』が乱れるのだ。
『場、保ツ、考エスギ』
「意識しないで『場』を維持する?」
スーに指導を受けながら、クロノは素振りを繰り返し……五十を数えると同時に疲労感でその場に座り込んだ。
『オマエ、ダメ』
「普通に素振りするよりしんどいんだけど」
クロノの刻印は不規則に明滅している。何となく嫌な予感がしてクロノは刻印を停止させた。
大した運動量ではなかったはずだが、全身が汗で塗れ、小さく震えている。
「燃費悪いなぁ」
クロノは布で汗を拭い、イスの背もたれに置いた。
「ちょっと、換気」
クロノが窓を開けた瞬間、風が背後から押し寄せ、部屋の煙を外へと押し流した。
「……」
「ボクの名前を呼んでくれないのかい?」
振り向くと、リオが部屋の扉の近くに佇んでいた。
「リオ、どうして?」
「ここが帝都アルフィルクで、君が死にそうな目にあったと聞かされたからさ」
リオはクロノのベッドに腰を下ろし、優雅に足を組んだ。
『……オマエ、誰ダ!』
グルルとスーはリオに槍を向けて唸った。
「ボクはクロノの愛人さ。そういう君は何なんだい?」
『オレ、コイツノ嫁!』
嫁? とリオは不機嫌そうに目を細める。
「まあ、構わないさ。けれど、ボクは君よりも先にクロノと知り合っていたんだよ? 少しは敬意を持って接してくれても良いんじゃないかな?」
『……分カッタ』
スーは素直に槍を下ろした。
「素直な子どもは大好きさ」
そう言いながら、リオの目は全く笑っていない。どう見ても子どもが大好きな人間の目じゃない。
ともすればスーは動物的な勘でリオの危うさを感じ取って引いたのかも知れない。
「ちょっと部屋から出てくれないかな?」
『ウ~、分カッタ』
「ふふふ、素直な子どもは大好きさ。これからも好きでいさせてくれると、嬉しいのだけれどね」
リオは部屋から出て行くスーを凍てついた目で見送った。
「で、何の用?」
「恋人に会うのに理由が必要なのかい?」
クロノはイスに座り、リオを見つめた。
「冗談さ。明日、城まで君をエスコートするのがボクだって報告に来たんだよ」
「ようやく自分の領地に戻れるのか」
クロノが帝都にあるクロフォード邸に滞在しているのは論功行賞のためだ。本音を言えばアルフォートと会いたくないのだが。
「功績を立てるのは喜ばしいんだけれど、弱いくせに無鉄砲すぎるんじゃないかな?」
「自分なりに考えてるつもりなんだけど」
「……フェイに手を出したのも考えた末の結論なのかい?」
う、とクロノは言葉に詰まった。
「やっぱり、分かる?」
「立ち居振る舞いに隙がなくなった上、動きに華があるからね。前に手合わせした時も強かったけれど、もっと強くなっているだろうね」
リオは優雅に足を組み替え、自嘲するように微笑んだ。
「君も成長したんだろうと思ったけれど、変わってなくて安心したよ」
「そう簡単に成長できるんなら、何度も死にかけないよ」
「違いないね」
何が楽しいのか、リオは声を上げて笑った。
「最初の質問に戻るんだけれど、ボクがここに来たのは蛮族の処遇について伝えておきたいことがあったからさ」
「……何かあったの?」
「クロノが心配するほどのことじゃないさ。エルナト伯爵の根回しのお陰で君とガウルの主張は概ね飲んで貰えるだろうね」
ホッとクロノは胸を撫で下ろした。
「ボクが心配しているのは論功行賞で我慢できるのかさ」
「……何のことかな?」
「トボけなくてもクロノがボクを必要としてくれる限り、裏切ったりはしないさ」
ベッドから立ち上がり、リオはクロノを後ろから抱き締めた。
「君が望むのなら、殿下の首を掻き切ることも厭わないよ。ボクは尽くすタイプだからね」
「……それは、ちょっとね」
リオの気持ちは嬉しいが、それ以上に恐ろしい。リオにとってアルフォートを殺害するのは容易いかも知れない。
けれど、そんなことをすればリオだけではなく、リオの家族や部下まで処罰されるだろう。
あらゆるものを犠牲にしてまで尽くして欲しいなんて言えるはずがない。
「時々、不安になるのさ。今の幸せが続くような気がしなくてね」
リオはクロノに体重を預け、囁くように言った。
「……リオは幸せに代償が必要だと思っているの?」
「そっちの方が分かり易いし、安心するんじゃないかと思っているよ。だって、そうじゃないか。偶々、舞踏会で目を付けた相手がボクの秘密を知っても驚かずに受け入れてくれるなんて出来すぎさ」
両性具有者よりもミノタウルスやリザードマンを見た衝撃の方が大きかったけど、とクロノは頬を掻いた。
「おまけに異世界から来たなんて冗談みたいな話さ」
「知ってたの?」
「おや、本当に異世界から来たのかい?」
カマを掛けられた、とクロノは舌打ちしたい気分になる。
「不機嫌な顔をしないでおくれよ。以前、レオンハルト殿に初代皇帝は異世界から来た黒髪の男だったと聞かされてね」
「ティリアは秘密にしろって言ってたけど?」
「そりゃあ、正気を疑われるだろうからね」
それもそうか、とクロノは頷いた。
「じゃ、ボクは帰るよ」
「食事でも一緒にどう?」
「……お言葉に甘えようかな」



オルトは養父が率いていた傭兵団の参謀役でマイラの戦友である。彼の経歴や功績を語るのは難しいのだが、容姿に限定すれば一言で足りる。
執事である。オールバックに固めた白髪が執事っぽい。右目の片眼鏡
モノクル
が執事っぽい。真っ直ぐに伸びた背筋が執事っぽい。切れ長の目、薄い唇、冷淡そうな所が執事っぽい。
オルトは背筋を伸ばし、クロノの斜め後ろに控えている。
「何だか、混沌としているね?」
「そう?」
リオに問い掛けられ、クロノは食堂を見渡した。レイラ、フェイ、スノウ、スー、女将
シェーラ
がいる。もっとも、レイラと女将は給仕に専念しているが。
「タイガ達も呼びたかったんだけど、食堂が狭くてさ」
「獣人達は兵舎かい?」
「オルトが手配した宿に泊まってるよ。宿の主人に嫌がられたから、宿を貸し切る羽目になったけど」
「……真っ当な宿は亜人に部屋を借したがりませんからな」
肩越しに見ると、オルトは軽く胸を張り、感情を感じさせない平坦な声で言った。
「こっちはお客さんだよ?」
「真っ当な宿じゃないと評判が立つ方が恐ろしいのでしょう」
「理屈は分かるんだけど、面白くないね」
クロノはテーブルに肘を突き、ソーセージを囓った。
チラリと女将に視線を向ける。
「そんな目をしなくても、あたしの店は客を選ぶ余裕なんてありゃしなかったよ。余裕がなさ過ぎて連れ込み宿みたいに使われちまったけどね」
「連れ込み宿って、そんな所にレイラを泊めてたのか」
クロノは力なく頭を垂れた。
「……当時は不満を感じなかったのですが」
「あの時の兵舎と比べるのも何だか間違っているような気がするんだけど」
兵士の給料を横領していたくらいだし、とクロノは昔の上司を思い出して深々と溜息を吐いた。
「そうかも知れませんが、当時の私達にとってはあれが自然で……いいえ、あの頃も、今もクロノ様は信じられないくらい私達を大切にされています」
そう言って、レイラは寂しそうに微笑んだ。
「どうやら、不安を感じているのはボクだけじゃないみたいだよ?」
リオは悪戯っぽく微笑んだ。ハーフエルフであるレイラと帝国の貴族であるリオが似たような想いを抱いているのは皮肉な感じがするが。
「フェイは?」
「ふぁんでありまふゅか?」
視線を向けると、フェイは料理を口一杯に頬張り、ハムスターのように頬を膨らませていた。
「食べ終わってか
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But I don't know, where is the true meaning of Earl of beta Tauri."I wonder if I'm not embarrassed when no more threat of barbarian? 」Corresponding in Dorado Kingdom virtual enemy and built a Fort at areos mountains Barbarian threat is gone, it is not the new nobility of the southern frontier old nobility of the Empire including the Alcor Vizier. The new nobility of the southern frontier would trade to Kingdom of Dorado and unusable card logistics limited."Elect the Emperor? 」' Is convinced that 親征 since you have power like a's ' Farna added that in my mind and mouth every bit the political matter of time it's not?,.There is no "understands well of power and good."' It not but be advised ' The Majesty that was wise ruler in that and perhaps I failed, trying to visualize a Lamar v face farna is. Anyhow, I remember that in figures fear that breath smelled of alcohol and his brother died. Will say that results only look at talented subordinates to throw everything that is whether or not I think Lamar v gently Empire reigned? Lamar v knew it. You can also fear of the powers that matter in which I am incompetent. ファーナの息子であるアルフォートは違う。アルフォートは権力の恐ろしさも、自分の限界も知らない。息子は誰かの甘言に乗せられてアルコル宰相を排斥しかねない危うさを抱えているのだ。 ティリア皇女に皇位を継がせた方が良かったんじゃないかしら? とも思うのだが、アルコル宰相が内乱の原因を作った女の娘を信用できるかと言えばそれも難しいだろうと思う。 今までのやり方が通じなくなってきてる感じね、とファーナは難しそうに眉間に皺を寄せるアルコル宰相を眺めた。※ 部屋には煙が漂っていた。鎮静効果のある薬草を焚いて生じるそれは今日に限って言えば本来の用途とは異なる使い方をされていた。 突然、煙が渦を巻く。部屋の窓は閉め切られている。人が動けば煙が動くことはあるだろうが、今のように動いたりはしないだろう。 煙の中心に立つのは刻印を起動させたスーだ。煙はスーを中心に渦を巻き、紡錘状の無煙空間を作り出している。『……場、言ウ。オレノ意思、場、伝ワル』「なるほど」 どうやら、刻印術は身体能力を高める以外にも使い道があったようだ。ララは炎を纏っていたし、リリも飛んでいたので、今更という気もするが。 Chrono clasped the necklace, to start stamping. Verse and squeals and images while enduring the pain smoke swirling in like. First thread 解reru to moderate smoke flowing. It was completed after a while was unlike Sue, twisted around the spindle."But it still is sore? 」"Omae, powerChikaraThe NAI ' I'm? And soon convinced the tilted neck is Chrono. Falling into this world from the Chrono strengthened the body. It's fundamentally different from well tempered and Lue people grow up but be proud we have ever exposed to a harsh natural environment. It would too and head to the strength of the Chrono and strength which can be demonstrated by stamp, burden on the body.「…… Ease cannot be stronger? ""No good 呪i, 頼ru,' And not it's dies by the sword those who live by the sword, but depends on the useful power is not good maybe, Chrono pulled out the sword."At the 保tsu'See understanding. To do so, and cannot be used in combat! " So to train steadily. Chrono and swinging while maintaining 'the place', soon realized the difficulty. It's corruption and cut the 'the place'.", 考e japonica, 保tsu '' Keep 'the place' without being conscious? 」 Being trained to sue Chrono repeating swing. Counting the 50 and at the same time sat down to fatigue.'Omaha, no good'I'm tougher than average swing to... Imprint of the Chrono and flashes on and off. Chrono is stopped stamping, somehow have foreboding. Much of the momentum wouldn't have had the body covered in sweat, trembling less."A bad fuel economy." Chrono wiped sweat with cloth and placed on the backrest of the Chair.Ventilation small, Chrono opened the Windows, wind from behind, has swept away the smoke room to the outside.「……」"Don't call my name?? 」 I turned around, and Rio was standing near the door of the room.See Rio, why? 」From being told was where Teito Al filk, you are dying Rio is sitting in the bed of the Chrono, crossed legs gracefully.『…… Omai, whom da! 』 Gilles and Sue spear towards Rio, groaned."I was mistress of the Chrono. What is it you? 」"Me and coats no yome! 』 Bride? And Rio is to soar by sight.「まあ、構わないさ。けれど、ボクは君よりも先にクロノと知り合っていたんだよ? 少しは敬意を持って接してくれても良いんじゃないかな?」『……分カッタ』 スーは素直に槍を下ろした。「素直な子どもは大好きさ」 そう言いながら、リオの目は全く笑っていない。どう見ても子どもが大好きな人間の目じゃない。 ともすればスーは動物的な勘でリオの危うさを感じ取って引いたのかも知れない。「ちょっと部屋から出てくれないかな?」『ウ~、分カッタ』「ふふふ、素直な子どもは大好きさ。これからも好きでいさせてくれると、嬉しいのだけれどね」 リオは部屋から出て行くスーを凍てついた目で見送った。「で、何の用?」「恋人に会うのに理由が必要なのかい?」 クロノはイスに座り、リオを見つめた。「冗談さ。明日、城まで君をエスコートするのがボクだって報告に来たんだよ」「ようやく自分の領地に戻れるのか」 クロノが帝都にあるクロフォード邸に滞在しているのは論功行賞のためだ。本音を言えばアルフォートと会いたくないのだが。「功績を立てるのは喜ばしいんだけれど、弱いくせに無鉄砲すぎるんじゃないかな?」「自分なりに考えてるつもりなんだけど」「……フェイに手を出したのも考えた末の結論なのかい?」 う、とクロノは言葉に詰まった。「やっぱり、分かる?」「立ち居振る舞いに隙がなくなった上、動きに華があるからね。前に手合わせした時も強かったけれど、もっと強くなっているだろうね」 リオは優雅に足を組み替え、自嘲するように微笑んだ。「君も成長したんだろうと思ったけれど、変わってなくて安心したよ」「そう簡単に成長できるんなら、何度も死にかけないよ」「違いないね」 何が楽しいのか、リオは声を上げて笑った。「最初の質問に戻るんだけれど、ボクがここに来たのは蛮族の処遇について伝えておきたいことがあったからさ」「……何かあったの?」「クロノが心配するほどのことじゃないさ。エルナト伯爵の根回しのお陰で君とガウルの主張は概ね飲んで貰えるだろうね」 ホッとクロノは胸を撫で下ろした。「ボクが心配しているのは論功行賞で我慢できるのかさ」「……何のことかな?」「トボけなくてもクロノがボクを必要としてくれる限り、裏切ったりはしないさ」 ベッドから立ち上がり、リオはクロノを後ろから抱き締めた。「君が望むのなら、殿下の首を掻き切ることも厭わないよ。ボクは尽くすタイプだからね」「……それは、ちょっとね」 リオの気持ちは嬉しいが、それ以上に恐ろしい。リオにとってアルフォートを殺害するのは容易いかも知れない。 けれど、そんなことをすればリオだけではなく、リオの家族や部下まで処罰されるだろう。 あらゆるものを犠牲にしてまで尽くして欲しいなんて言えるはずがない。「時々、不安になるのさ。今の幸せが続くような気がしなくてね」 リオはクロノに体重を預け、囁くように言った。「……リオは幸せに代償が必要だと思っているの?」「そっちの方が分かり易いし、安心するんじゃないかと思っているよ。だって、そうじゃないか。偶々、舞踏会で目を付けた相手がボクの秘密を知っても驚かずに受け入れてくれるなんて出来すぎさ」 両性具有者よりもミノタウルスやリザードマンを見た衝撃の方が大きかったけど、とクロノは頬を掻いた。「おまけに異世界から来たなんて冗談みたいな話さ」「知ってたの?」「おや、本当に異世界から来たのかい?」 カマを掛けられた、とクロノは舌打ちしたい気分になる。「不機嫌な顔をしないでおくれよ。以前、レオンハルト殿に初代皇帝は異世界から来た黒髪の男だったと聞かされてね」
「ティリアは秘密にしろって言ってたけど?」
「そりゃあ、正気を疑われるだろうからね」
それもそうか、とクロノは頷いた。
「じゃ、ボクは帰るよ」
「食事でも一緒にどう?」
「……お言葉に甘えようかな」



オルトは養父が率いていた傭兵団の参謀役でマイラの戦友である。彼の経歴や功績を語るのは難しいのだが、容姿に限定すれば一言で足りる。
執事である。オールバックに固めた白髪が執事っぽい。右目の片眼鏡
モノクル
が執事っぽい。真っ直ぐに伸びた背筋が執事っぽい。切れ長の目、薄い唇、冷淡そうな所が執事っぽい。
オルトは背筋を伸ばし、クロノの斜め後ろに控えている。
「何だか、混沌としているね?」
「そう?」
リオに問い掛けられ、クロノは食堂を見渡した。レイラ、フェイ、スノウ、スー、女将
シェーラ
がいる。もっとも、レイラと女将は給仕に専念しているが。
「タイガ達も呼びたかったんだけど、食堂が狭くてさ」
「獣人達は兵舎かい?」
「オルトが手配した宿に泊まってるよ。宿の主人に嫌がられたから、宿を貸し切る羽目になったけど」
「……真っ当な宿は亜人に部屋を借したがりませんからな」
肩越しに見ると、オルトは軽く胸を張り、感情を感じさせない平坦な声で言った。
「こっちはお客さんだよ?」
「真っ当な宿じゃないと評判が立つ方が恐ろしいのでしょう」
「理屈は分かるんだけど、面白くないね」
クロノはテーブルに肘を突き、ソーセージを囓った。
チラリと女将に視線を向ける。
「そんな目をしなくても、あたしの店は客を選ぶ余裕なんてありゃしなかったよ。余裕がなさ過ぎて連れ込み宿みたいに使われちまったけどね」
「連れ込み宿って、そんな所にレイラを泊めてたのか」
クロノは力なく頭を垂れた。
「……当時は不満を感じなかったのですが」
「あの時の兵舎と比べるのも何だか間違っているような気がするんだけど」
兵士の給料を横領していたくらいだし、とクロノは昔の上司を思い出して深々と溜息を吐いた。
「そうかも知れませんが、当時の私達にとってはあれが自然で……いいえ、あの頃も、今もクロノ様は信じられないくらい私達を大切にされています」
そう言って、レイラは寂しそうに微笑んだ。
「どうやら、不安を感じているのはボクだけじゃないみたいだよ?」
リオは悪戯っぽく微笑んだ。ハーフエルフであるレイラと帝国の貴族であるリオが似たような想いを抱いているのは皮肉な感じがするが。
「フェイは?」
「ふぁんでありまふゅか?」
視線を向けると、フェイは料理を口一杯に頬張り、ハムスターのように頬を膨らませていた。
「食べ終わってか
การแปล กรุณารอสักครู่..
ผลลัพธ์ (อังกฤษ) 2:[สำเนา]
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第12話『騎士団』


「全く、次から次へと問題ばかり起こしてくれる」
アルコル宰相は背もたれに寄り掛かり、溜息混じりに言った。主語が抜けているが、彼の台詞がクロフォード男爵の息子であるクロノに対するものであることは尋ねなくても判る。
蛮族に攫われたかと思えば、その蛮族が説得に応じて和議を申し入れてきたと言うのだから、アルコル宰相でなくてもぼやきたくなるだろう。
「蛮族の申し出なんて突っぱねれば良いじゃない」
「こちらから歩み寄って置きながら、手の平を返すなど体面が悪かろう」
元々、アルコル宰相は木っ端役人である。ラマル五世に重用され、あり得ない立身出世を遂げたが、皇帝という後ろ盾がない今は彼の地位も盤石とは言えない。
「蛮族の申し出を受け入れても同じじゃないかしら?」
「その辺りはエルナト伯爵が『派手に』根回しをしとる」
その『派手な』根回しを止めようとしないのだから、アルコル宰相はエルナト伯爵が作り出した流れに乗るつもりなのだろう。もっとも、エルナト伯爵の真意が何処にあるのか分からないが。
「蛮族の脅威がなくなったら困るんじゃないかしら?」
「ドラド王国を仮想敵とし、アレオス山地に砦を建設することで対応する」
蛮族の脅威がなくなって困るのは南辺境の新貴族ではなく、アルコル宰相を含めた帝国の旧貴族だ。
南辺境の新貴族がドラド王国と交易をするようになれば物流の制限というカードが使えなくなってしまう。
「次期皇帝陛下の様子は?」
「あの親征以来、自分に権力があると思い込んでいるみたいなのよね」
政治に口を挟もうとするのも時間の問題じゃないかしら、とファーナは心の中で付け加えた。
「権力の怖さも理解してくれると良いのだがな」
「それとなく忠告するけれど」
陛下は、あれはあれで名君だったのかしらね、とファーナはラマル五世の顔を思い浮かべようとして失敗した。どうにも思い出せるのは酒臭い息と死んだ弟に怯えている姿ばかりである。
有能な部下に万事丸投げという姿勢はどうかと思うが、結果だけ見ればラマル五世は穏やかに帝国を治めたと言えるのではないだろうか。
ラマル五世は知っていたのだ。権力の恐ろしさも、ついでに言えば自分が無能であることも。
ファーナの息子であるアルフォートは違う。アルフォートは権力の恐ろしさも、自分の限界も知らない。息子は誰かの甘言に乗せられてアルコル宰相を排斥しかねない危うさを抱えているのだ。
ティリア皇女に皇位を継がせた方が良かったんじゃないかしら? とも思うのだが、アルコル宰相が内乱の原因を作った女の娘を信用できるかと言えばそれも難しいだろうと思う。
今までのやり方が通じなくなってきてる感じね、とファーナは難しそうに眉間に皺を寄せるアルコル宰相を眺めた。



部屋には煙が漂っていた。鎮静効果のある薬草を焚いて生じるそれは今日に限って言えば本来の用途とは異なる使い方をされていた。
突然、煙が渦を巻く。部屋の窓は閉め切られている。人が動けば煙が動くことはあるだろうが、今のように動いたりはしないだろう。
煙の中心に立つのは刻印を起動させたスーだ。煙はスーを中心に渦を巻き、紡錘状の無煙空間を作り出している。
『……場、言ウ。オレノ意思、場、伝ワル』
「なるほど」
どうやら、刻印術は身体能力を高める以外にも使い道があったようだ。ララは炎を纏っていたし、リリも飛んでいたので、今更という気もするが。
クロノは首飾りを握り締め、刻印を起動させる。ギチギチと体が軋み、その痛みに耐えながら煙が渦を巻くようにイメージする。
最初は緩やかに、糸が解れるように煙が流れる。しばらくして完成したそれはスーと異なり、あちこちが歪んだ紡錘だった。
「相変わらず、体が痛いんだけど?」
『オマエ、力
ちから
、ナイ』
ん? とクロノは首を傾げたが、すぐに納得した。この世界に落ちてからクロノは体を鍛えた。
今まで努力をしてきた自負はあるが、過酷な自然環境に晒されて育つルー族とは鍛え方が根本的に違うのだ。
クロノ本来の筋力と刻印によって発揮できるようになる筋力に落差がありすぎて、体に負担が掛かっているのだろう。
「……楽して強くはなれないか」
『呪イ、頼ル、ダメ』
剣によって生きる者は剣によって滅ぶじゃないけど、便利な力に依存するのは良くないかもね、とクロノは剣を抜いた。
『場、保ツ』
「了解。そうしないと、実戦で使えないもんね」
そうとなれば地道に鍛えるしかない。クロノは『場』を維持しながら素振りをし、すぐに難しさを悟った。
素振りをすると、『場』が乱れるのだ。
『場、保ツ、考エスギ』
「意識しないで『場』を維持する?」
スーに指導を受けながら、クロノは素振りを繰り返し……五十を数えると同時に疲労感でその場に座り込んだ。
『オマエ、ダメ』
「普通に素振りするよりしんどいんだけど」
クロノの刻印は不規則に明滅している。何となく嫌な予感がしてクロノは刻印を停止させた。
大した運動量ではなかったはずだが、全身が汗で塗れ、小さく震えている。
「燃費悪いなぁ」
クロノは布で汗を拭い、イスの背もたれに置いた。
「ちょっと、換気」
クロノが窓を開けた瞬間、風が背後から押し寄せ、部屋の煙を外へと押し流した。
「……」
「ボクの名前を呼んでくれないのかい?」
振り向くと、リオが部屋の扉の近くに佇んでいた。
「リオ、どうして?」
「ここが帝都アルフィルクで、君が死にそうな目にあったと聞かされたからさ」
リオはクロノのベッドに腰を下ろし、優雅に足を組んだ。
『……オマエ、誰ダ!』
グルルとスーはリオに槍を向けて唸った。
「ボクはクロノの愛人さ。そういう君は何なんだい?」
『オレ、コイツノ嫁!』
嫁? とリオは不機嫌そうに目を細める。
「まあ、構わないさ。けれど、ボクは君よりも先にクロノと知り合っていたんだよ? 少しは敬意を持って接してくれても良いんじゃないかな?」
『……分カッタ』
スーは素直に槍を下ろした。
「素直な子どもは大好きさ」
そう言いながら、リオの目は全く笑っていない。どう見ても子どもが大好きな人間の目じゃない。
ともすればスーは動物的な勘でリオの危うさを感じ取って引いたのかも知れない。
「ちょっと部屋から出てくれないかな?」
『ウ~、分カッタ』
「ふふふ、素直な子どもは大好きさ。これからも好きでいさせてくれると、嬉しいのだけれどね」
リオは部屋から出て行くスーを凍てついた目で見送った。
「で、何の用?」
「恋人に会うのに理由が必要なのかい?」
クロノはイスに座り、リオを見つめた。
「冗談さ。明日、城まで君をエスコートするのがボクだって報告に来たんだよ」
「ようやく自分の領地に戻れるのか」
クロノが帝都にあるクロフォード邸に滞在しているのは論功行賞のためだ。本音を言えばアルフォートと会いたくないのだが。
「功績を立てるのは喜ばしいんだけれど、弱いくせに無鉄砲すぎるんじゃないかな?」
「自分なりに考えてるつもりなんだけど」
「……フェイに手を出したのも考えた末の結論なのかい?」
う、とクロノは言葉に詰まった。
「やっぱり、分かる?」
「立ち居振る舞いに隙がなくなった上、動きに華があるからね。前に手合わせした時も強かったけれど、もっと強くなっているだろうね」
リオは優雅に足を組み替え、自嘲するように微笑んだ。
「君も成長したんだろうと思ったけれど、変わってなくて安心したよ」
「そう簡単に成長できるんなら、何度も死にかけないよ」
「違いないね」
何が楽しいのか、リオは声を上げて笑った。
「最初の質問に戻るんだけれど、ボクがここに来たのは蛮族の処遇について伝えておきたいことがあったからさ」
「……何かあったの?」
「クロノが心配するほどのことじゃないさ。エルナト伯爵の根回しのお陰で君とガウルの主張は概ね飲んで貰えるだろうね」
ホッとクロノは胸を撫で下ろした。
「ボクが心配しているのは論功行賞で我慢できるのかさ」
「……何のことかな?」
「トボけなくてもクロノがボクを必要としてくれる限り、裏切ったりはしないさ」
ベッドから立ち上がり、リオはクロノを後ろから抱き締めた。
「君が望むのなら、殿下の首を掻き切ることも厭わないよ。ボクは尽くすタイプだからね」
「……それは、ちょっとね」
リオの気持ちは嬉しいが、それ以上に恐ろしい。リオにとってアルフォートを殺害するのは容易いかも知れない。
けれど、そんなことをすればリオだけではなく、リオの家族や部下まで処罰されるだろう。
あらゆるものを犠牲にしてまで尽くして欲しいなんて言えるはずがない。
「時々、不安になるのさ。今の幸せが続くような気がしなくてね」
リオはクロノに体重を預け、囁くように言った。
「……リオは幸せに代償が必要だと思っているの?」
「そっちの方が分かり易いし、安心するんじゃないかと思っているよ。だって、そうじゃないか。偶々、舞踏会で目を付けた相手がボクの秘密を知っても驚かずに受け入れてくれるなんて出来すぎさ」
両性具有者よりもミノタウルスやリザードマンを見た衝撃の方が大きかったけど、とクロノは頬を掻いた。
「おまけに異世界から来たなんて冗談みたいな話さ」
「知ってたの?」
「おや、本当に異世界から来たのかい?」
カマを掛けられた、とクロノは舌打ちしたい気分になる。
「不機嫌な顔をしないでおくれよ。以前、レオンハルト殿に初代皇帝は異世界から来た黒髪の男だったと聞かされてね」
「ティリアは秘密にしろって言ってたけど?」
「そりゃあ、正気を疑われるだろうからね」
それもそうか、とクロノは頷いた。
「じゃ、ボクは帰るよ」
「食事でも一緒にどう?」
「……お言葉に甘えようかな」



オルトは養父が率いていた傭兵団の参謀役でマイラの戦友である。彼の経歴や功績を語るのは難しいのだが、容姿に限定すれば一言で足りる。
執事である。オールバックに固めた白髪が執事っぽい。右目の片眼鏡
モノクル
が執事っぽい。真っ直ぐに伸びた背筋が執事っぽい。切れ長の目、薄い唇、冷淡そうな所が執事っぽい。
オルトは背筋を伸ばし、クロノの斜め後ろに控えている。
「何だか、混沌としているね?」
「そう?」
リオに問い掛けられ、クロノは食堂を見渡した。レイラ、フェイ、スノウ、スー、女将
シェーラ
がいる。もっとも、レイラと女将は給仕に専念しているが。
「タイガ達も呼びたかったんだけど、食堂が狭くてさ」
「獣人達は兵舎かい?」
「オルトが手配した宿に泊まってるよ。宿の主人に嫌がられたから、宿を貸し切る羽目になったけど」
「……真っ当な宿は亜人に部屋を借したがりませんからな」
肩越しに見ると、オルトは軽く胸を張り、感情を感じさせない平坦な声で言った。
「こっちはお客さんだよ?」
「真っ当な宿じゃないと評判が立つ方が恐ろしいのでしょう」
「理屈は分かるんだけど、面白くないね」
クロノはテーブルに肘を突き、ソーセージを囓った。
チラリと女将に視線を向ける。
「そんな目をしなくても、あたしの店は客を選ぶ余裕なんてありゃしなかったよ。余裕がなさ過ぎて連れ込み宿みたいに使われちまったけどね」
「連れ込み宿って、そんな所にレイラを泊めてたのか」
クロノは力なく頭を垂れた。
「……当時は不満を感じなかったのですが」
「あの時の兵舎と比べるのも何だか間違っているような気がするんだけど」
兵士の給料を横領していたくらいだし、とクロノは昔の上司を思い出して深々と溜息を吐いた。
「そうかも知れませんが、当時の私達にとってはあれが自然で……いいえ、あの頃も、今もクロノ様は信じられないくらい私達を大切にされています」
そう言って、レイラは寂しそうに微笑んだ。
「どうやら、不安を感じているのはボクだけじゃないみたいだよ?」
リオは悪戯っぽく微笑んだ。ハーフエルフであるレイラと帝国の貴族であるリオが似たような想いを抱いているのは皮肉な感じがするが。
「フェイは?」
「ふぁんでありまふゅか?」
視線を向けると、フェイは料理を口一杯に頬張り、ハムスターのように頬を膨らませていた。
「食べ終わってか
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talk talk talk in front of the Knights' (1993), the prime minister 』


「 Alcor next only from the back leaning to the matter said with a sigh. Subject omission, without asking his words for the son of the Baron Chrono Crawford. If one's due at the barbarian and the barbarians and reconciliation with persuasion to say the prime minister to grumble at Alcor. AtIf the next >>
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「 Alcor next only from the back leaning to the matter said with a sigh. Subject omission, without asking his words for the son of the Baron Chrono Crawford. If one's due at the barbarian and the barbarians and reconciliation with persuasion to say the prime minister to grumble at Alcor. AtIf the next >>
talk talk talk in front of the Knights' (1993), the prime minister 』


「 Alcor next only from the back leaning to the matter said with a sigh. Subject omission, without asking his words for the son of the Baron Chrono Crawford. If one's due at the barbarian and the barbarians and reconciliation with persuasion to say the prime minister to grumble at Alcor. At"If you don't 突っぱねれ they offer good 」
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「 Dorado Kingdom, Allegheny Mountains south of the border of the male is no threat to the Barbarians (1993) corresponding to build a fort new nobility, including the Prime Minister of the former imperial nobles Alcor. AtThe spectre of Al fort, know your limits. My son is desperate to hold on to someone who can work with Alcor as prime minister. It was good in the cavity at the rear to succeed to the throne, princess, didn't I? And I think the prime minister may be Alcor trust her daughter made the cause of the civil war, and say it will be difficult. I'm at it until now, not through the wayAt Alcor wrinkle one's prime minister to be so hard on my forehead and fur. The



room air. Herbs for calming effect caused by it only in use today is different from the original purpose. At the sudden, swirling smoke. The window of the room sealed off. There may be people who smoke run will not move, or the like. It is Sue at the start-up of the center of the smoke. Smoke swirled around the suThey create a spindle-shaped blank space.
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「 go together but I 」
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「 of anxiety. Not feel like the happy now that Rio (1993) I put on weight, Chrono said.
「…… Think you need for a happy Rio? " Easy to understand that the way ofMercenary soldiers in his role as chief of staff of the ortho Myra comrades. To talk about his career and achievement is difficult, but if the word limited to appearance. In the butler. "It all back hair. A monocle eyeglass at the right eye. That Butler extending straight back. Almond eyes, thin lips, like a butler so cold. At the ortho to the back of the obliquely. I
「, chaos? "
「? " AtRio was to ask the restaurant to Chrono cross. Reira, Fei, snow, Sue, at a シェーラ. However, Leila and are committed to serving. We wanted to call
「 taiga, but we do to the people 」
「 narrow barracks mess? " The Inn at the ortho
「 arranged for you. The landlord is in the mind, I had 」
「…… reserve hotel The woman in his hotel room, no one wants to see from the shoulder, 1993)The company, in such a place with hanging her head feebly Chrono 1993 or room Leila.
「…… As long as the salary of embezzle (1993) soldiers do I get the feeling of 」
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「 fan in there with me? " Look at the eyes, the mouth full of food, one's mouth
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