現代タイ語のあゆみ 4
何故「音価」の同じものが違う文字になったのか、その理由は
①タイ語では古くは声調符号と声調型とは対応関係を持っていた。
②音節初頭子音の変化に伴なって、声調型を変化したために両者間
にずれが生じた。
③このため音韻変化により「同音異字」が生まれた。
④パーリ・サンスクリット語でも、発音よりも原形が重視され「文
字」と「発音」の乖離が激しく(借用語に多い)
これ等の条件を満たすために工夫されたものである。実はタイ人でもどの字を使うのか迷うことがあると言う。
現代のタイ語が「国語学」として確立するのは1918年「タイ語の基礎・ラック・パーサー・タイ」と言う本格的「文法書」が出されてからである。未だ100年も経ってない。
「新方式の採用」
それまでのタイ語の教育は「母音」「子音」「声調」と言った「音韻学的」説明から始めるものであった。今から60年程前からは、「読み書き」の導入部分で「日常の単語」の身の回りの易しい意味を持つ言葉(単語)や文章を教え徐々に「音韻学」ないし「音声学」的説明を加えていくと言う方法への変化である。
「コー・カイ」から始めるのではなく、「ก― า กา =カラス」「ห ―ม― า หมา=犬」と言った「単語」を最初から教えて行く方法の採用である。1960年頃には現在のような「国語教科書」が完成した。このように「あゆみ」を見て来ると、可なりの期間が掛かって「現代タイ語」が出来上がったのである。 続く