心得ておかなければならないことは、言語に自主性があってそれ自体が自力で変わっていくのではなくて、実際には、話す人がその言語の使い方を変えているということである。よって、どのように、そして何故、話し手が言語のある要素を自分の中に取り込むのかという観点から説明するほうがより的確なのである。この点において、言語変化のメカニズムは、本質的には、社会的現象と考えることが出来るであろう。そうすると、私たちが問わなければならい適切な質問は「なぜ言語は変化するのか」というより「社会的なコンテキストにおいての話し手の言語活動が、どのようにして言語の基本構造内に確立した変化としての言語組織を送り込むのか」と言うことである。