そんな時だった。突然、テントの外から男の怒鳴り声が聞こえた。同じ部活の先輩の声だ。それともうひとつ、見知らぬ男の声も聞こえてきた。金城やほかの部員たちが何事かと思い外に出ると、睨みあう先輩と、強豪校・箱根学園のレギュラージャージを着た金髪の男がギャラリーに囲まれていた。金城たちが先輩から話を聞くに、ふたりはすれ違うときに肩がぶつかったらしく、それが酷かったので先輩は転んでしまったらしい。先輩は立ち去ろうとする金髪の男を捕まえ、抗議したが、男は非常に横柄な態度で謝ろうとはしなかった。かわりに、近くにいて騒動を聞きつけた箱根学園の別のレギュラーメンバーが金髪男の代わりに謝っていた。
「うちの福富が出走前に申し訳ない。怪我はないだろうか」