微笑ましいふたりだからか。
いや、たしかにそれもあるけど、それだけじゃない。
いまやルシアもぼくたちの仲間で、その仲間を大事にしてくれるリーンさんに対して親近感が湧いたのだ。
それにしても……と抱き合うふたりを見つめる。
彼女たちには、種族や出自におおきな隔たりがある。
ふたりの関係は、その差を埋めてなお余りあるほど親密に思えた。
ルシアとの初対面のときも、そうだったかもしれない。
リーンはぼくたちを試すような真似までして、ルシアのことを心配していた。
ぼくたちに悪感情を抱かれることより、ルシアをぼくたちに預けることを不安がっていた。
ルシアは本来、肩書的には亡国のお姫様だが、実際は捨て駒のような存在だ。
そんな彼女と、光の民を率いる少女。
ふたりの間に、ぼくたちの知らないどんな交流があったのか。
「ん。百合百合しい」
「黙れ」
ミアの頭を、軽く拳で叩く。
まあ、いい。
それはいまのぼくたちにとって、あまり関係のないことだろう。
そのうち、ルシアに聞いてみてもいいけれど。
プライベートなことだから……教えてくれるかなあ。
「カズさん、お待たせしました。治療します」
アリスがこっちに駆けよってきて、肩にヒールをかけてくれた。
だんだんと痛みが退いていく。
ふう、やっとひと心地つけた。
「お疲れさま、カズくん」
リーンさんの激しい登場に驚いていて気づかなかったが、いつの間にか、志木さんも広間に来ていた。
軽く手を上げる我らの委員長は、しかしどこかやつれて見える。
目の下に、濃い隈ができていた。