お……おぉ!! アクティブスキルに魔法があるのを確認した俺は、思わず心の中で叫んでしまった。
そのゴブリンが戦闘に参加してからは形勢逆転した。傷ついたゴブリンをゴブリンプリーストが回復させ、遠距離からゴブリンメイジが魔法を放つ。
「ヒ……ヒール」
「ファイアーボー…………ル」
「糞が!!」
喰らわずに躱すハーゲだが、ゴブリンメイジのファイアーボールに体勢を崩され、その隙をゴブリン達が見逃さず襲い掛かる。
俺はその間にゴブリンメイジとゴブリンプリーストに近付く。後ろに居る俺に気付いたゴブリンメイジとゴブリンプリーストに『強奪』を何度も発動する。
「っ痛…………」
強奪の発動する際の頭痛が俺を襲うが、今はそれどころではない。文字通り命懸けだ。問題なく『黒魔法LV1』と『白魔法LV1』を強奪できた。
「ファイアーボール」
すぐにゴブリンメイジが魔法を唱えるが、ファイアーボールは発動しない。
「!?」
魔法が発動しないことに混乱しているゴブリンメイジに、予め用意していた石で殴る。『闘技』+『腕力上昇』スキルで強化されている俺に石で殴られたのだから、ゴブリンメイジもたまったものじゃない。
「ギャッッ!!」
頭部の一部が潰れて、そのまま倒れるゴブリンメイジ。
「ヒー…………ル!!」
慌ててゴブリンプリーストがヒールを唱えるが、勿論発動しない。そのままゴブリンプリーストも、撲殺する。
ハーゲの方を見るとまだ生きているようで、ゴブリンも残り5匹にまで数を減らしていた。ハーゲも無傷ではなく、全身血塗れで左腕はちぎれかけているし、左足も引きずっている。
「二段突き!!!」
ハーゲが『剣技』の二段突きを叫ぶが、それは二段突きとはとても呼べないものだった。そう、ただ単純に突きを2回繰り返しているだけだった。
『剣術LV1』を奪ったからなのか、『剣技LV1』があっても二段突きが発動しないのか?
「ど……どうなってんだ! なんで剣技が発動しねぇ!!」
とうとうハーゲは倒れるとゴブリン達が群がり始めるが、その内の一匹が俺に気付いた。
「ギギッ!?」
すぐに残りの4匹もこちらに気付き、ターゲットを俺に変えたようだが少し気付くのが遅すぎた。俺は落ち着いて石を投げていく。
石を喰らったゴブリンは、頭部が陥没する者、目が潰れる者、足に当たりその場で蹲る者も居た。元々ゴブリンメイジとプリーストは離れた位置に居た上に、倒した後に俺は更に距離をあけていた。こちらに真っ直ぐ向かって来るゴブリンなどいい的だった。
全てのゴブリンを倒し終えると、倒れたハーゲに近付く。しぶとく生きているようで俺を見ると
「た……助かった…………ぐぅ……お……俺を村ま……で運べ! ……」
何か勘違いしているようだったので、親切に教えてやった。
「お前はバカか? なんでゴブリンが大量にお前に向かって来たのかわからないのか?」
「ま……まさか……お前がっ!!」