浦和地裁昭和 56 年2月 25 日判決
同族会社の役員である被相続人が当該会社に対して有する貸金等を免除
した行為につき、相続人が当該債務免除を課税価格より控除して相続税の
申告、修正申告をしたところ、課税庁は、相続税法 64 条1項を適用してこ
の債務免除を否認し、課税価格の計算に債務免除の金額を算入して更正処
分を行った。本判決では、同法 64 条による否認の対象となる「同族会社の
行為」について、「同族会社以外の者が行う単独行為は、その第三者が同族
会社との間に行う契約や合同行為とは異なって、同族会社の法律行為が介
在する余地がないものである以上、『同族会社の行為』とは相容れない概念
であるといわざるをえない。」と判示し、同法 64 条の適用を否定した。