pixiv
「ค้นหาอันดับยอดนิยม」เฉพาะ pixiv พรีเมี่ยมเท่านั้น!
bird in a "cage"
by ひなた
vertical
ก่อนหน้า 1 / 2 ページ ถัดไป
***
銃声、爆音、悲鳴、怒声…。
方々を鋭利な糸で塞がれ、まさしく1つの"鳥カゴ"と成り果てたドレスローザに、もはや秩序など存在しなかった。
混乱の渦中に居る住民達に与えられた選択肢はたった3つ。
偽りの中で「王」と崇めた男の首を取るか。
その「王」に盾突いた者達の首を献上するか。
このまま怒りと悲しみに身を任せて無残に死にゆくか。
各々の選択が複雑に絡み合い、美しかった街並みは流れ出る血で赤く染まり見る影もない。
「くそッ!数が多すぎる!!これじゃミンゴのところに辿り着けねェ…!」
献上すべき首の標的とされたルフィ、ロー、ゾロの3人は何十人もの男達に取り囲まれていた。
誰の目も血走っているという意味では同じだが、その瞳は怒り、恐怖、はたまた金への欲望など、様々な思惑に縁取られている。
襲いかかって来る男達を片っ端から殴り倒したとしても、次から次へとその数は増すばかりだ。
覇王色の覇気を駆使してみても、それで倒れてくれる者はごく僅か。
流石に、ドンキホーテファミリーには実力者が揃っている。
「ぐ、ぅ…ッ!」
肩にしっかりと担いでいたローが、苦しげな声を漏らす。
ドフラミンゴに手酷く痛めつけられた身体はやはりかなりのダメージを蓄積しているようで、ルフィから伝わる振動にも堪えるようだった。
「トラ男!悪ィ、大丈夫か!?」
「…そう思うんなら、この錠を外して下ろしてくれ…。」
「それはだめだ!だって、そんなことしたらお前、また勝手なことすんだろ!!」
ローを支える腕に力を込めて叫ぶ。
「……何をしようとおれの勝手だろ。お前にとやかく言われる筋合いは…」
「嘘だ!!」
刃物を振りかざす男を殴り飛ばしながら、ルフィは確かな怒りを感じていた。
「お前、そんなこと言いながら、たった1人でミンゴに立ち向かうことで、おれ達をミンゴから護ろうとしてんだろ!!」
「…!」
「そんなのいらねェ!おれはお前に護られたいんじゃねェ!お前を護りたいんだ!!」
力強くそう言い放ったは良いものの、それが出来なかったからこそ、ローはこんなにも傷だらけになっているのだ。
ルフィはドフラミンゴに対するのと同じくらい、ローを護れなかった非力な自分に怒りを感じていた。
だからこそ。
「今度こそ、ぜってェ離さねえ…!」
銃声が響いた。
ルフィ1人なら、いくら銃弾を食らっても問題はない。
だが、今はローが居る。
急いで身を翻そうとした時、目の前を斬撃が通り過ぎ、2人に向かって放たれた銃弾は全て弾け飛んだ。
「ゾロ!!」
白刃を煌めかせながら、ゾロが2人を庇うように身を躍らせる。
「埒が明かねェな…!おい、ルフィ!3人共固まってちゃ格好の的だ!一旦別れるぞ!トラ男は任せた!!」
「ああ!分かった!」
「お、おい…!お前ら、勝手に話を進めるな!」
「奴ら二手に別れるつもりだぞ!合わせて8億!簡単に逃がしてたまるかよ!!」
それぞれの叫び声が錯綜する。
その時。
突如として地面が大きくうねり出した。
「うわァ!な、何だ!!」
「…!あいつ、さっきの石のやつか…!!」
「……ピーカ!」
3人の遙か上空を覆うように、石化したピーカがその巨体を露わした。
「……。」
ピーカは3人の姿を確認すると、無言のまま右手を振り下ろした。
「!!!」
"右手"と言っても、軽く一山はあろうかと言う大きさだ。
何とかその直接的な打撃は避けたものの、打撃から発生した強烈な衝撃波までもを防ぐ術は無かった。
家も木々も人間も、たちまち衝撃波に巻き込まれて宙を舞う。
辺りは粉塵に覆われた。
「ぐ…!」
びりびりと響く耳鳴りの中、ローが酸素を求めるように喘いだかと思うと、そのまま激しく咳き込み始めた。
「トラ男!?」
口からは鮮血が零れ、ルフィの肩を生温かく濡らす。
そんなローの様子に気を取られてる間に、今度は左手が振り下ろされた。
「ルフィ!トラ男!!」
焦りを滲ませたゾロの声は風にかき消された。
ピーカの左手が僅かにルフィの脇を抉り、その反動でローを支えていた手が緩む。
畳みかけるように再び巻き起こった衝撃波に、ついにその手が、離れた。
「………ッ!トラ、男…!」
もう二度と離さないと誓ったのに。
不思議なくらいスローモーションな動きでローがルフィから離れて行く。
ローの鮮血が空を舞った。
急いで手を伸ばしてローを抱き込もうとしたその時、嘲笑うかのように地面が大きく揺れ、続けてピーカの右手がルフィを襲った。
「うゥ…あッ!!」
その拳を直に食らったルフィは後方に吹き飛び、その後を追うように粉塵が巻き上がる。
視界は黒に覆われ、もはやその姿を捉えることも出来ない。
「トラ男ーーーー!!!!!」
悲痛なルフィの叫びだけが、無秩序を極めるドレスローザの空に響き渡った。
***
「げほげほッ!危ねェ、おれ達まで巻き込まれるところだった!ピーカ様ってば、見境がねェんだから!!」
ドフラミンゴの指示で"受刑者"を追っていたドンキホーテファミリーの男は、ピーカの攻撃から命辛々逃れて大きく息を吐いた。
粉塵が漂う中、自分と共に居たはずの部下達の姿を捉えようと辺りを見回す。
「おい、お前ら!死んでねェだろうなァ!!」
地面を擦る靴の音がいくつも聞こえてくるので生きていることは間違いないはずなのに、誰も声を発さない。
「…?どうした、返事をしろ!!」
苛立ちを込めてそう叫べば、ようやく部下の1人が焦ったような声を出した。
「リ、リーダー…!!こいつ…!」
ようやく視界を覆っていた塵が霧散し、立ち尽くす部下達の姿が確認出来た。
「あァ!?何だってんだ…………ッ!!!」
分かりやすく取り乱す部下たちの目の前には、血濡れの状態で地面に横たわる男が1人。
「トラファルガー……、ロー!!!」
ピーカの生み出した衝撃波によってルフィから離されたローは、何の因果かローの首を狙うドンキホーテファミリーの元に吹き飛ばされたのだった。
ローは地面に叩き付けられた衝撃で気を失っているのか、ぐったりと四肢を伸ばし、瞳を閉じたまま動かない。
最初は戸惑いを見せていた部下達だったが、今や興奮した様子でローの頬を軽く叩いてその様子を観察している。
「リーダー!チャンスですよ!!今の内に若様の所に連れて行きましょう!!それでおれ達、晴れて億万長者だ…!!」
「ご丁寧に海楼石まで嵌めて来てくれたんだ!これは"どうぞ連れて行って下さい"ってことだよなァ…?」
下卑た笑いを顔に張り付けながら、ローを担ぎ上げようと手を伸ばす。
「……待てッ!!」
鋭く言い放たれた言葉に、部下達はびくりと肩を跳ねさせた。
「な、何でですか!こんなチャンスはないですよ!こいつが目を覚ます前に早く…!」
男は気を落ち着けるように深く息を吐き、そして、狂気を宿した瞳で笑った。
「もちろん、若様に献上するさ…。だが、ただ差し出すだけじゃ、つまらねェだろ…?」
そう言いながら、男は未だ地面に仰向けに横たわるローの腹へと腰を下ろした。
「こいつには長年の恨みがあるんだ…!確かに、こんなチャンスはねェなァ。まさか、直接この手で"お礼"が出来る日が来るなんてよォ…!!」
「リーダー?こいつと面識があるんですか?」
「ああ…。とは言っても、こいつはおれの事なんて知りもしないだろうがな…。」
「へ?それは一体全体どう言う意味で…?」
「…ドンキホーテファミリーの最高幹部には4つの席が用意されていることぐらい知ってんだろ。」
「ええ。それはもちろん。」
「こいつは…そのうちの1つ、ハートの席を与えられた男だ。」
「ええッ!?」
「おれは…、ガキの頃から若様に憧れ、いつか最高幹部の席に着くために全てを若様に捧げて生きて来た。当時からトレーボル様、ピーカ様、ディアマンテ様は今の席に着いていたが、何故かハートの席だけは空席だった。おれはその席を手に入れようと血反吐を吐きながら這いずり回った。」
ローを見下ろす瞳は底の無い憎悪で冷たく煌めいている。
「そんな時だ…。こいつが突然現れたのは。そして、あろうことか若様はこいつにハートの席を与えた…。」
男の発する狂気に、部下達はごくりと生唾を飲み込んだ。
「確かにクソガキのくせにこいつは恐ろしく強く、そして恐ろしく狡猾だった。こいつは直ぐに若様のお気に入りとなった。」
この重苦しい空気に耐えられなかったのか、部下の1人が遠慮がちに口を挟んだ。
「し、知らなかったです…。その、こいつがファミリーの一員だったなんて…。なら、どうして今こいつは若様に盾突くようなことをしてるんです?」
「問題はそこだ…ッ!若様の寵愛を一身に受けていたこいつは、ある日突然ファミリーの前から姿を消したんだ!!」
あまりの剣幕に、ひっと息を飲む音が響く。
「あァ…、別に消えたことなんかどうでもいいんだ。むしろおれは喜んだ。"これでようやく目の上のたんこぶが無くなった!"ってな。…だが、若様は再び空席になったハートの席を誰かに明け渡すことはしなかった!どんなに年月が経っても、ハートの席はファミリーを逃げ出したこいつのためのものなんだよッ!!!」
男は、血で汚れたローの濃紺の髪を乱暴に掴んだ。
「おれはそれが許せなかった!!こいつが…!こいつが存在するせいで、おれは……ッ!」
掴んでいた手を激しく揺する。
その薄い唇から小さな呻き声が漏れたものの、まだ瞳は閉じられたままだ。
「リ、リーダー!?」
何度かその動作を繰り返すと、男は突然動きを止めた。
そして、ゆっくりとした動作で腰に下げていた酒を取り出し、一気に栓を抜いてからその中身をローの顔に容赦なく溢した。
「いつまで寝ているつもりだ…?トラファルガー・ロー。」
瓶の中身が半分ほど減った頃、盛大な咳き込みと共に、ローがうっすらと瞳を開いた。
「ようやくお目覚めか?」
そう言いながら見下ろしてやればローは驚いたように睫毛を震わせ、逃げるように身動ぎをした。
だが、その腹には男がどっかりと腰掛けているため、満身創痍でろくに力の入らないローが逃れる術はない。
「う…ッ!く、そッ!離れ…!!」
「なァ、お前、若様にどんな風に抱かれてたんだ?」
「な…!?何を言って…ッ!」
「とぼけんなよ。毎日毎日、この身体で若様に奉仕したんだろ…?」
つ…と胸に大きく描かれたハートのトライバルを指で辿れば、ローは見るからに不快そうに顔を歪めた。
「触るな…ッ!」
「つれねェこと言うなよ。どうせ汚れきった身体だろ…?健気だよなァ、ハートの席を手に入れるために身売りなんてよォ。」
「てめェ…!さっきから何訳の分からないことを言ってやがる…!!」
「…言いたくねェってんなら別に良いけどな。」
胸を撫で回していた指で、その頂を強く引っ掻いた。
「ぐッ!」
苦痛に顰められた顔を満足げに見下ろし、男は舌舐めずりをしながら口角を上げた。
「そんなに言いたくねェのなら、直接…お前の身体に聞いてやるよ…!!」
言葉を失ったローの心を代弁するように、どこかから渇いた銃声の音が響いた。
***
なんで。
どうして。
この状況は何だ。
つい先程までは不本意ながらもルフィに担がれながら、ドフラミンゴの居る王宮を目指していたはずだ。
それがピーカの襲撃を受けて、その反動で気を失って。
それから、…。
「何だ、考え事か?随分余裕なんだなァ。流石、手慣れてるやつは違うぜ!」
「い…ッ!」
ドフラミンゴに撃たれた傷口を容赦なく指で抉られ、その痛みに思わず声が漏れる。
殺傷能力の低い銃で撃たれたとはいえ、未だに血を流し続けるそこは熱を持ったように熱い。
数分前に浴びせられた酒はたちの悪いことに中々の度数だったようで、早速頭が朦朧として来た。
上手く定まらない瞳で目の前の男を睨み付ければ、男は実に楽しそうに笑んでみせた。
身体中に悪寒が走る。
銃声と粉塵の舞う大通りから隠れるように近くの路地裏に引きずり込