実際、パックスが暴君で、愚王だったかは、政治を受けていない俺には分かりかねる。
以前のパックスならそうだったろうが、
最近のパックスは別に愚かでも暴君でもなかったのではなかろうか。
いや、王族を皆殺しにした事にフォーカスすれば、暴君以外の何者でもないが。
そんな噂が流布されているにも関わらず、パックスの死体に石を投げつける者は少数だった。
愛されていたわけではないが、憎むほどでもなかった。
そもそも、他国にいた時期が長すぎ、かつ在位期間が短すぎて、結局こいつ何だったんだ、と思う者が多いのかもしれない。
無関心が大多数。
そんな印象だ。
「……」
ザノバはその様子を見て、震えていた。
目を見開き、拳を握って震えていた。
俺もこの光景には、何かこみ上げてくるものがあった。
やはり、荼毘に付しておいたほうが良かったのではないだろうか……。
死体を反乱軍に渡さ無かったほうがよかったのではないだろうか。
城を占領した時点で、彼らだって勝ったと思っただろうし……。