納税猶予の特例には、農地等に係るものと平成21年度税制改正において導入された非上場株式等に係るもの(いわゆる新事業承継税制)とがある。これらの納税猶予について、贈与税と相続税と連続して適用を受けた場合、結果的に当該財産(農地等、非上場株式等)への課税の繰り延べ又は免除がなされ、相当の税制上の優遇を受けることができる。この点について、贈与税の納税猶予と相続時精算課税との関係を考慮に入れて比較してみると、相続時精算課税の適用を受けずに贈与税の納税猶予の適用を受けた場合、農地等の場合には、贈与時に負担は生じず相続時の価額で相続税が課税され、非上場株式等の場合には、贈与時に負担が生じないのは同様であるが、贈与時の価額で相続税が課税される。贈与税の納税猶予の適用を受けずに相続時精算課税制度の適用を受けた場合には、農地等の場合には、価額が2,500万円超であれば比例税率20%で一時的な負担が生じ、相続時には贈与時の価額で相続税が課税される