周りから悲鳴が上がる。
救急車を呼べと叫び散らす男もいる。
だけど、一番多い掛け声は『大丈夫か』だった。
いや、大丈夫じゃないだろ。
鉄骨の下敷きになって、どうして生きていられるんだ。
テレビのリポーターが鉄骨に敷かれながら、
「これはいい重圧ですね。うん、内蔵破裂」
なんて和やかに実況してるか?
してないだろ。
つまりそれが答えだ。
かろうじて見える視覚は、どんどん狭まっていく。
身体が冷たくなっていく感覚。
親父を介して手に入れた中小企業の名刺は、俺の体液でレッドカードになっていた。
と言ってもこの場合、退場するのは俺なんだろうけど。
土方さんによって放たれた鉄骨(スパイク)が俺に直撃。
なのに、俺だけが一発退場。
理不尽にも程があるだろ。
こんなことなら、クリスマスの夜に外へ出なければよかった。
そしてそれ以上に、『何か職に就こう』なんて、思いつかなければよかった――